株式会社リーガロイヤルホテル広島 代表取締役社長 室 敏幸

今年で開業30周年を迎えたリーガロイヤルホテル広島。
小誌発行人・前田社長も
創業30周年のイベントをここで開催したばかりである。
室社長と、広島の今とこれからについて語り合った。
1955年に開業した
広島で初めてのホテルが前身
前田
リーガロイヤルホテル広島の32階スカイバンケットに来ております。非常に眺めがいいですね。広島市街地はもちろん、広島城、そして今年新しくオープンしたサッカースタジアムまで一望できます。
御社も今年30周年を迎えたそうですね。まずはこの30年の歩みを振り返って教えていただけますか。
当ホテルの前身は1955年に開業した新広島ホテルで、来年は創業70周年を迎えます。原爆からの復興のシンボルとして、平和記念公園内にできた広島公会堂という施設に併設したホテルです。その後、別途事業所として1962年に上八丁堀に広島グランドホテルを開業しました。
そして1994年、広島アジア大会に伴い、選手団の受け入れや、増大する海外からの観光客に対応するために、このリーガロイヤルホテル広島が、ここ基町で開業しました。
前田
改めて振り返りますと、前身の新広島ホテルから広島と共に歩んだ長い歴史があるのですね。この30年の中で御社にとって大きな出来事というのは何があるでしょうか。
やはり直近では昨年のG7広島サミット(以下G7)でしょうか。
G7広島サミットで
世界のVIPに対応
前田
各国の首脳陣の方がここに来られましたね。大変だったでしょうね。
ええ、ホテルの客室が広島内で不足するのではと聞いていましたので、当ホテルでも早めに客室や人員を押さえる努力をしました。部屋が何室必要か、どういう会議があるかという詳しいことがなかなか決まらず、アメリカのバイデン大統領とイタリアのメローニ首相の会談も直前に決まり、この32階で開催されました。その他にも、国同士の会食や招待国大統領のご宿泊なども承りました。当ホテルのホームページで回顧記録を公開しています。
広島の魅力を高めて
若者が輝ける街に
前田
G7は広島にとっても、とても大きな出来事でしたね。世界中から広島が注目を浴びました。その後、宿泊客の方が増えたりしましたか。
5月にG7が終わり、7月くらいから徐々に増え始め、10〜12月は過去最高、コロナ禍前を超えたご利用がありました。海外からの宿泊は団体と個人の利用があるのですが、来年は団体の予約が年間を通して入っており、海外からの宿泊については過去最高の受注をいただいているところです。
前田
ここまで戻る前、コロナ禍の時は本当に大変だったでしょうね。
この3年間は本当に大変で、宿泊も宴会も打撃を受けました。当初はここまで長く続くと思いませんでした。
前田
あの頃、旅行会社はオンラインで自宅から観光地の様子を楽しめるツアーを実施されたりしましたが、こちらのホテルでは何か新しい試みをされたのでしょうか。
県外からお客様に来ていただくのが難しかったので、地元の皆様に向けて、記念日プランやテレワークプラン、部屋飲みプランなどホテルステイを堪能できるプランを販売しました。
 昨年5月に新型コロナウイルスが5類になって以降、宿泊者数は右肩上がりに回復したのですが、法人宴会は苦戦が続きました。年末年始にはコロナウイルスやインフルエンザの影響で宴会の出席人数が減ることもありました。
 しかしながら、コロナ禍で縮小していた婚礼マーケットにおいては新規の問い合わせが徐々に回復してきていますので、2024年度は力を入れていきたいと思っています。ただ、依然厳しい状況が続いています。
前田
結婚される方が少なくなっていることや、地味婚が増えていることなどが背景にあるのでしょうか。
色々な要素がありますね。広島県はこの3年間で転出者が3万人くらいおり、その大半が若年層だといいます。広島の若い方が大阪や東京、福岡などへ流出している現状があります。婚礼をお考えになるような年代の人口が減っているということですね。
前田
今日、弊社も会社説明会を行ったのですが、今おっしゃったことを実感します。大学進学や就職で関東へ行く人が多いので、ぜひ広島で働いてもらいたいという思いと同時に、私たち経営者が魅力ある企業を作らないといけないと思い、若手経営者と勉強会を計画しています。
広島をもっと魅力的にしたいですね。
前田
婚礼といえば、実は私自身、結婚式の披露宴をこのホテルで挙げさせていただきました(笑)。
ありがとうございます。もちろんよく存じあげております。
欧米のみならず
アジアから注目を浴びる広島
前田
先ほど、インバウンドが復活されてきたと伺いました。私自身、広島に住んでいて思うのですが、広島に来るインバウンドは圧倒的に欧米の人が多いですよね。いつも気になっているのですが、皆さん広島に宿泊すると、どこを観光されるのでしょうか。
当ホテルに宿泊される方は、原爆ドームや平和記念資料館をご覧になり、食事は広島の地元グルメ、お好み焼きなどを召し上がっています。それから流川でちょっとお酒を飲んで、翌日は宮島へ出かける方が多いようですね。
 当ホテルも欧米の方はコロナ禍に比べて3倍くらい増えているのですが、最近になってその傾向が変わってきました。実は今、韓国が熱いんです。12月に韓国からのお客様の割合が初めて1番多くなりまして、1月はアメリカが1位で韓国は2位。ホテル業界の資料を見ても、全国的に韓国からの観光客数が増えています。
前田
なるほど。その背景は何なのでしょう。
当ホテルでの要因は、昨年7月からソウルとの直行便が就航したことが大きいと思います。宿泊なさるのは若い世代の方が多いです。そして、台湾からのお客様の数は去年の後半ぐらいからかなり伸びてきました。これからはアジアからの観光客がもっともっと増えてくる可能性があると思っています。
リーガロイヤルホテル広島の
これからの取り組みは
前田
今後のご計画などがありましたらお聞かせ願えますか。
今年の4月25日に開業30周年を迎えました。この30周年を契機に、先行して発売したのがアロマフレグランスです。1階の ロビーと同じ香りをご自宅でも楽しんでいただけるようにと商品化しました。お家で香らせたり、名刺入れに忍ばせて名刺に香りを付けたり。
前田
ハーバルフローラルな香り。いい香りのする名刺ってすてきですね。
30周年を記念した「夫婦でBeauty Change! ステイプラン」というも特別プランもご用意いたしました。宿泊は最高級グレードの客室、ロイヤルスイートです。奥様はイメージコンサルタントの去来川こすもさんによるイメージ診断やプロのメイクレッスン、ヘアスタイリングを受けていただき、その間、旦那様はヘルスクラブのプールで泳いだりできます。その後、変身した奥様と旦那様にフレンチのフルコースを召し上がっていただきながら、ゆっくりと過ごしていただきます。
前田
記念日などにいいですよね。近場でぜいたくを楽しめるのがいいです。
あとは、30周年記念メニューとして、30年物の熟成ウイスキーを「スカイダイニング リーガトップ」でご提供しています。また、「チャイニーズダイニング リュウ」では、開業当初にコースとして提供していたメニューを、1品ずつのアラカルトでお楽しみいただけます。この中で、長年愛されている「あっさり葱そば」をご家庭でも味わっていただけるよう、商品化を目指して現在準備中です。
前田
それは楽しみですね!
今年は開業30周年ですが、来年は前身の新広島ホテルから数えると創業70周年です。私は、今年と来年のテーマを「恩返しの年」と決めています。この30年はひとえに地元広島の皆様の支えがあってこそのリーガロイヤルホテル広島ですので、それを2年間で少しでも返していきたいです。例えばアプリ会員様向けにレストランのメニューが50%引きになる特別タイムセールなどを実施しています。また、謝恩企画として6/1(土)〜7/7(日)に「リーガに願いを」というキャンペーンを実施します。
前田
七夕ですね。
当ホテルで叶えたいことを募集し、当選したお客様の願いを私どもで叶えます。
前田
夫婦でスイートに泊まりたい、などでもいいんですか。
もちろんです、応募してください(笑)。“両親が結婚式を挙げていないので、チャペルで挙式をさせてあげたい”ですとか、ホテルだからこそ叶えられることをぜひ実現させていただきたいです。
前田
すてきですね。宴会といえば、実はわが社も毎年こちらで社外向け経営方針発表会を開催させていただいております。本来は昨年が創業30周年でしたが、コロナ禍で延期した懇親会を先日、250名で行いました。お客様やお取引業者様、スタッフみんなに喜んでいただけて本当に良かったです。やっぱりリーガロイヤルホテルさんだなと。
ありがとうございます。私が着任したときに強く感じたのが、 宴会の料理を抜きん出たものにしたいということです。私が入社したとき大阪では、“食のリーガ”と謳っていました。広島でも地域ナンバーワンの味を打ち出していかねばと思っています。実は今の総料理長は、私が若い頃、本社であるリーガロイヤルホテル大阪で新レストランのマネジャーとして立ち上げをしたときのシェフなんです。私が広島で社長として着任し、また一緒に仕事ができることになりました。一緒にがんばってきて気心も知れているので、なんでも言い合えます。ですから、宴会の料理とレストランにも力を注いで、他のホテル様よりも頭ひとつ、ふたつ抜けるぐらいの勢いをもって取り組もうと思っています。お客様から「やっぱりリーガロイヤルホテル広島がおいしい」とお褒めいただくことも増えてきました。
 ほかにもロビーやフロントでは、 多言語対応ができるように外国人のスタッフを増やしており、ここ数か月だけでもエジプトから2人、韓国から2人、中国から1人を採用しています。私たちも海外に行ったとき、母国語で対応してもらえると安心感があるので、海外からいらした方にも喜んでいただいて、広島に行くならリーガロイヤルホテルだと言ってもらえるようになりたいですね。
前田
この広島にインバウンドやたくさんの海外の方に来ていただいて、広島の良さをもっともっと世界に発信していきたいですね。今日はありがとうございました。
株式会社リーガロイヤルホテル広島
代表取締役社長
室 敏幸
大阪府出身。1983年株式会社ロイヤルホテル入社。同社理事などを経て、2021年より株式会社リーガロイヤルホテル広島 総支配人、2023年より株式会社ロイヤルホテル 執行役員と共に株式会社リーガロイヤルホテル広島 代表取締役社長を務める。趣味はオーディオ鑑賞で、ジャズボーカルなどの音楽を愛好する。