株式会社バルコム 代表取締役会長 兼 社長 山坂 哲郎

BMWなどの人気輸入車の正規ディーラーだけでなく、
飲食や不動産などへ事業分野を広げる
株式会社バルコムの山坂社長と前田社長が、
ビジネスや地域貢献への思いを語り合った。
全世界のBMW正規ディーラーの
中から、ナンバーワンを受賞
前田
株式会社バルコムさんといえば、BMWの正規ディーラーとして世界トップクラスの会社ですね。
山坂
はい、弊社は広島・岡山・山口・福岡に16店舗を展開し、全世界約3000社のBMW正規ディーラーの中からセールス部門と顧客満足度部門の1位を連続受賞しています。その他にMINI、ロールス・ロイス、ハーレー・ダビッドソンなども正規ディーラーです。
前田
ディーラー以外の業種にも事業を拡大されておられますね。
山坂
バルコムグループは不動産事業や流通事業の他に、飲食部門では鉄板居酒屋「鉄ぱん屋 弁兵衛」などを運営しています。海外でもシンガポールで和牛専門焼肉店3店舗、ウズベキスタンでウズベキスタン料理店などを展開しています。
前田
ウズベキスタン料理とは珍しいですね!
山坂
ええ、私は広島大学出身ですが、私が設立した学部を越えた同窓会『広島大学・千田塾』に大学院を卒業したウズベキスタン人がいました。彼が母国で日本語学校と人材の送り出し機関を設立していて、日本への受け入れの協力を頼まれて現地を訪れました。そこからウズベキスタンが大好きになり、毎月のように訪れています。
前田
グローバルに事業を展開されておられるのですね。いろいろな事業部門を持たれ、従業員も900人位いらっしゃるんですよね。
山坂
はい、1967年に私の父が創業し、1980年に私が入社したとき社員が20人、3年後に父が亡くなったときは30人ほどでした。
前田
30人が山坂社長一代で900人に!どのような道のりだったのか聞かせていただけますか。
野球が大好きな学生時代から
トップセールス社長になるまで
山坂
私は野球が大好きで、広島商業高校の野球部に入り、野球一筋でした。勉強を全くやっていなかったので、大学受験前の半年間は1日16時間の勉強を毎日続けました。
前田
そして広島大学に合格された。なかなかできることではないですね。何事もあきらめずに努力を続けられるのは、野球で培われた精神でしょうか。
山坂
それもありますが、私は”怖がり”なんですよ。2年半ほとんど勉強せずにゼロからのスタートでしょう。不安で、とにかく寝ているとき以外は必死に勉強しましたね。同じ問題集を3回やるんです。1回目は分からなかったことが2回目で分かるようになり、3回目でできるようになった。すると勉強がだんだん面白くなってきたんです。
前田
そして、見事に広島大学に合格。広大でも野球を?
山坂
野球部でがんばっていました。在学中は、将来は商売をやりたいと考え、父の会社を継ぐつもりでしたが、父が「まずは他の会社で勉強した方がいい」と言うので、広島マツダに入社しました。広島マツダにはノンプロの野球部があるので、ここなら商売の勉強もできて野球もできるぞと。15時半にタイムカードを押してから野球の練習に行っていました。
前田
その限られた時間の中で、営業でもトップセールスになられたんですよね。ほんとにすごいことです。
山坂
ありがとうございます。野球で身に付いたのだと思いますが、私はいつも「こんにちは!」と元気にあいさつしています。それと、努力し”続ける”こと。努力をすることはわりと誰でもできるのですが、それを続けることが大切です。どれも当たり前のことばかりですが、その当たり前のことが仕事の成功につながっていると思います。
前田
その後、バルコムに入社して社長を継がれたのですね。
山坂
25歳で父の会社に入社して、32歳で社長を交代しました。入社当時は社員も少なく、売り上げ・顧客管理業務のきちんとしたフローがなかったので、広島マツダのやり方を参考にしながら改革を進めました。”家業から企業へ”を目指して、企業再構築を行いました。
広島のためになる活動で
自分たちも元気になれる
前田
バルコムさんの哲学、ポリシーを教えていただけますか。
山坂
弊社は「幸せの実現」を経営哲学として掲げています。「お客様の満足」「社員の満足」「会社の満足」「社会の満足」の”4つの満足”が経営理念です。
前田
その中の「社会の満足」について、バルコムさんが広島に貢献されている活動を教えていただけますか。
山坂
私が広島青年会議所の「身近なまちづくり委員会」の副委員長をしたときに、ゴミ拾いで集まった空き缶を換金して広島の緑化に役立てたり、『モノの豊かさから心の豊かさへ』というシンポジウムの開催などをしました。終わってみると「広島の市民を元気に、と始めたけど、自分たちが一番元気になれた、心の豊かさを感じた」と思ったのです。この心地良さを社員にも味わってもらいたいと思い、社内に「社会貢献委員会」を作りました。これまでにチャリティーコンサートを開催して収益を寄付したり、日本赤十字に血液輸送車を寄付したり。毎年小児がんの子どもたちとご家族をマツダスタジアムに招待する活動もしてい
ます。オフには選手に病棟を訪問しても
らいました。
前田
カープの選手に!それはいいですね! 子どもたちも励まされますね。
山坂
いろいろな依頼を受けますが、スポーツ関連が多いですね。広島六大学野球連盟の理事長も引き受けていますし、ドラゴンフライズは後援会長。それから、サッカーでは毎年平和記念の国際親善ユース大会のスポンサーをしています。その他、似島でサッカーなどのスポーツ大会とバームクーヘン焼き体験、平和学習のイベントを毎年企画・支援しています。
前田
私どもの会社も、マエダハウジングカップ野球大会や清掃などの地域貢献活動をしています。地域のおかげで私どものビジネスが成り立っているのですから、恩返しがしたいと思っています。
山坂
それぞれの活動がつながって、大きな流れになるといいですね。今度ぜひ一緒に何かやりましょう。
前田
今日は貴重なお話をありがとうございました。ぜひ一緒に地元に社会貢献をしていきましょう。
株式会社バルコム
山坂 哲郎
1955年広島生まれ。広島商業高校、広島大学で硬式野球部キャプテンを務める。卒業後、広島マツダに入社、トップセールスに。その後、株式会社バルコムヒロシマモータース(現・株式会社バルコム)に入社、1987年より代表取締役。